「非会員登壇」要望について 結果と経緯

2005年3月

 予てより物理学会に提出していた物理学会大会の一般講演における非会員登壇(「非会員登壇」)の要望が、2005年3月の物理学会理事会で部分的に認められ、実施されることとなった。

 その実施形態についてまとめるとともに、これまでの経緯を記す。

     I. 結果

          1. 理事会の承認事項

          2. 実施告知

          3. 今後について

     II. 経緯

          1. インフォーマルミーティングでの決議

          2. 物理学会大会における非会員の登壇に関する要望書

          3. 領域委員会、理事会での承認事項

          4. 領域11構成員向け告知

          5. 相手学会(日本機械学会、日本気象学会)の反応

 

I. 結果

1. 理事会の承認事項

2005年秋季大会からの導入

 物理学会と個別の協定を結ぶことはしない、との機械学会および気象学会の意向を承け、あくまでも物理学会内の問題として「非会員登壇」の可能性を探ってきた。紆余曲折を経て、2005年3月8日の物理学会理事会において「協定を結ぶという項は保留とし、その他の条件のみを摘要して2005年秋季大会より導入を試みる」ことが承認された。

講演発表者の資格

 その結果、以下の条件・方法が講演募集要綱(物理学会誌2005年4月号)に記載され、2005年9月の秋季大会(同志社大学京田辺キャンパス)から実施される:

C.講演発表者(登壇者)の資格 注意3

------------------

領域11に限っては、下記の条件(a〜c)を

全て満たせば非会員でも講演発表者(登壇者)となることができる。

(a)「日本機械学会」或いは「日本気象学会」の会員であり、且つ、学生であること

(b)本会会員が共同講演者となっていること

(c)参加費(非会員学生料金)に加えて、登壇料(5,000円)を支払うこと

------------------

F.講演申込および参加登録の方法

------------------

会員番号入力欄には、領域11で登壇する

非会員学生(C項、注意3の条件を満たしている者)は"R99999"

アクセスキーは、いずれも共通で"2005S"です。

------------------

(領域11からの補足)

 2005年年次大会の参加費を基準とすると、当該学会の会員であることを前提として、1回の登壇に要する費用は、非会員学生参加費2,500円+登壇料5,000円=7,500円である。一方、物理学会に入会して登壇する場合は、入会金3,000円+学生年会費7,000円+学生参加費1,500円=11,500円である。登壇が1回だけなら非会員登壇のほうが低額、2回なら入会したほうが割安[非会員登壇15,000円(=7,500円X2)、入会登壇13,000円(=11,500円+1,500円)]という計算になる。

 

2. 実施告知

 初めての措置であるため、無用の混乱が生じないよう、慎重に事を進める必要がある。そこで以下のような手順を踏む:

(i)まず2005年9月の秋季大会で試行的に実施する;

(ii)その状況を吟味した後にはじめて、物理学会事務局から正式に機械学会・気象学会に知らせ、学会内での公示・案内をお願いする;

 したがって当面、物理学会員向けの学会誌やwebページでの公示が行われるのみで、対象となる非会員学生への直接の告知は行われない。

 

3. 今後について

 「非会員登壇」の件は、学会の自己同一性や財政などが絡み、難しい問題である。そのため、さまざまな立場から賛否両論がありうる。しかし上記のごとく限定した形ではあれ、物理学会大会の一般公演の場が他学会員に対して開かれたことには一定の意味がある。今後はこの制度を活用し、交流を通じて学問の活性化を図ることが重要である。

 

 

 


II. 経緯

1. インフォーマルミーティングでの決議

A. 背景

 領域11の特に応用数学・力学・流体物理分野では、近年、物理学会における大学院生の発表件数が停滞気味である。その大きな理由のひとつに、現状では学会発表に際して物理学会に入会する事が義務づけられており、これが物理学会以外を第一学会にすることの多いこの分野の学生にとっては経済的負担になっている点が挙げられてきた。

 

B. インフォーマルミーティングでの決議

 2004年3月の物理学会年次大会領域11のインフォーマルミーティングで、流体物理部門を代表して柳瀬 眞一郎 氏(岡山大)から、このような背景がさまざまな資料とともに説明された。そして、非会員でも物理学会大会の一般公演で登壇できるような措置を物理学会に求めていきたいがどうかとの提案があった。同インフォーマルミーティングで、さまざまな観点からの議論を経た後、領域11として物理学会に非会員登壇措置を求めていくことが決議された。

 

C. 領域委員会での提案

 この決定を承け、蔵本 由紀 領域代表(当時)が領域委員長の谷村 吉隆 理事(当時)に打診するとともに、2004年6月4日の領域委員会(プログラム小委員会)で非会員登壇措置の実現を求めて問題提起した。これに対してその後、谷村 理事から、この件は物理学会の予算とも関連する事案なので、領域11からの要望を物理学会理事会へ正式文書の形で提出するようにとの指示があった。

 

D. 要望書の作成と提出

 2004年10月に就任した川村 現領域代表が、この問題を蔵本 前領域代表から引き継いだ。川村 代表の指示の下、この問題に関する領域11からの希望を文書の形でまとめる作業を始めた。要望は最も抜本的な(しかしある程度の期間の検討と準備が必要と思われる)レベルのものから、より現実的な(即ち、直ぐにでも実行できそうな)レベルのものまで、問題提起の意味も兼ねて、三段階の形で提案された。

 この要望書は2004年11月8日付で、領域11の川村領域代表から後任の領域委員長である平田 光司 理事に提出された。

 


2. 物理学会大会における非会員の登壇に関する要望書

2004年11月8日

領域11:物理学会大会における非会員の登壇に関する要望書

          1 要望

          2 方針

          3 日本物理学会の得失

 

1 要望

 現状では、日本物理学会員以外は領域11の一般講演に登壇することができない。一定の要件を充たした学生非会員についてこの制限を緩和していただきたい。

1.1 問題の背景

 領域11の応用数学・力学・流体物理分野では多くの研究者が、工学部機械工学科、化学工学科、土木工学科、航空工学科、数理系学科などに所属している。そのため、物理学会を第一学会としづらい場合があり、学生に対しても物理学会への入会を強く促すことが困難である。一方で、研究者レベルでは、多く の研究者(および共同研究者である学生)が物理学会の領域11で発表することを希望している。

1.2 趣旨

 大会での発表・討論、および学会誌への投稿は物理学会の活動の重要な両輪である。わけても、新しい人材がこれらの活動に積極的に参加することと、その ための環境を整備することは、物理学会の今後の発展にとって不可欠である。一定条件を備えた非会員が一般講演で発表できるように規制を緩和することで、 この領域(特に応用数学・力学・流体物理分野)の多くの学生が成果発表の機会を得る。これは大会の活性化につながる。さらにその後、学生が日本物理学会 へ入会するきっかけとすることもできる。

1.3 他学会との比較

 APS、日本機械学会、日本流体力学会等では、非会員の登壇を拒否していない。APSでは非会員の参加登録費は会員の約1.7倍である。但し学生には 特別割引があり、非会員であっても会員参加登録費の約1/2の費用で参加できる。日本機械学会では参加登録費に会員と非会員の区別が全くない。日本流体力学会では学生非会員の参加登録費は正会員の約2/3でよい。

 

2 方針

 相応の大会参加費を前提としつつ、物理学会大会で非会員の一般講演への登壇を一般的に認めるというのが将来的に望ましい方向と考える。しかしその実現には、慎重な議論、手続きの整備など、時間と労力をかけた制度変更を要する。ここでは以下のように(A)から(C)までの措置/形態を想定し、非会員の 登壇の可能性を考える。

2.1 形態

(A)共著者に会員がいる場合に非会員学生の登壇を許可する:

 共著者に物理学会員が含まれる場合には非会員学生の一般講演への登壇を許可する。実績を見るため、3年間程度の試行期間をおく。

(B)提携他学会に属する非会員の登壇を許可する:

 日本機械学会および日本気象学会と「相互乗り入れ」の提携を行う。本人が当該学会に属していれば、共著者に物理学会員がいなくても非会員が大会で登壇できるようにする。学生の登壇という趣旨に照らして、当面(数年間)は学生限定の措置とすることもできる。

(C)非会員の登壇を一般的に許可する:

 最も根本的な解決法である。この場合には、物理学会員の利益を保護するために、非会員登壇者の参加費を相応に高く設定する必要がある。それは同時に物理 学会への入会を促す効果を持つ。

 これらの措置/形態は必ずしも互いに排反するものでない。したがって、施策に重なりがあってもよい。しかし、ここでは第一歩として(A)または(B)の実現を要望する。

2.2 形態の特質(A)と(B)

 (A)は理念として明快で、学生に対して広く門戸を開く根本的な措置である。このような措置への要望は領域11にとどまらず他領域でも潜在的に存在することが予想される。したがって領域11で試行され採用されれば、将来的に多くの領域から同じ要望が出される可能性がある。その場合、学生新規会員の入会数が減少するという不利益が生じうるため、それを補う対策(後述3.3)を同時に整備する必要があろう。

 (B)は日本機械学会および日本気象学会との提携とあるように、領域11の主に応用数学・力学・流体物理分野に特化した措置である。そのため、他分 野・他領域に与える影響および波及効果は少ない。

[参考]

 措置(B)に関連して、物理学会の他領域では既に以下のような他学会との提携が行われている:

・領域2(プラズマ物理・プラズマ科学・核融合プラズマ・プラズマ宇宙物理)はプラズマ宇宙物理に関する天文学会、地球電磁気・地球惑星圏学会と提携関 係にある(3年間の時限措置)。

・領域12(ソフトマター物理・化学物理・生物物理)は生物物理学会と提携関係にあり、生物物理分野の発表に限り、生物物理学会員(学生に限らない)が 一般講演で登壇可能である(10年間の時限措置)。

・領域13(物理教育・物理学史・環境物理)は物理教育学会と同様な提携関係にある。

 

3 日本物理学会の得失

 物理学会の得失について、予想される利益(3.1)、不利益(3.2)、不利益を補う方策(3.3)の順に述べる。それらの利益や不利益がどの形態で 顕著になるかを()内に(A、C)のように記す。

3.1 利益

 登壇者の枠を広げることで、日本物理学会にとって以下のような利益があると考えられる:

(M1)大会の活性化

 学会大会に新たな参加者(特に若年層)が期待できる。それは年会・分科会の活性化に直結する(A、B、C);

(M2) 学会のすそ野の拡大

 物理以外の理工学分野との交流が確実に進み、物理学会のすそ野が広がる(B、C);

(M3)収入維持

 非会員登壇者の大会参加費上乗せの措置(後述3.3)を同時に実行できるならば、物理学会の収入を維持したままで、上記(M1)と(M2)の利益を享受できる。(特にA、C)

(M4)実質的会員の増加

 大会での登壇者に入会を促すような制度(後述3.3)を準備できれば、実質的な会員の数を増やすことができる。短期間だけ在籍する形式だけの会員よりも、より健全な学会構成となる。(特にA、C)

3.2 不利益

 他方、不利益としては以下の点が挙げられる:

(D1)収入減の可能性

 講演だけを目的として物理学会に入会する学生の数が減る可能性があり、その場合は物理学会の収入減となる。(A、B、C)

(D2)事務的負担増の可能性

 非会員登壇者の大会参加費を高く設定するなどの措置を講じる場合は、大会参加費の設定を細分化するなど、新たな事務処理を必要とする。(特にA、C)

3.3 不利益を補う方策など

 不利益(D1)を補う方策として(i)「参加費の上乗せ」(ii)「自動入会システム」の二つが考えられる:

(i)非会員登壇者の参加費用上乗せ

 大会での非会員学生登壇者の参加費用を学生会員の参加費に比べて相応に高く(例えば年間学生会費の約40%程度を上乗せして)設定することが考えられる。ここで、参加登録費はさまざまな公費から捻出することも可能であるため、一概に学生個人の負担を増やすことにはならない点も注目に値する。

 大会参加費の設定変更などの措置は、物理学会全体に関わる問題といえる。しかし、期間を設けてまず領域11で試行するのもひとつの方策である。

(ii)自動的入会システム

 非会員学生登壇者に対して入会の意向を尋ね、それがあれば優遇的処置で入会させる。この制度により、大会での講演が日本物理学会に入会するきっかけにな る。例えばAPSでは、大会への参加登録時に入会の意向を聞き、それがあれば1年間自動的に入会させるようにしている。

 不利益(D2)に関連して、現在、物理学会大会参加者(特に登壇者ないしは講演申込者)からの参加費徴収は振り込みやカードによる決済などで事前に行 われている。このため、web登録時の選択肢に「非会員登壇者」の欄を設けるなどで対応できる部分も多い。したがって参加費設定の細分化にともなう事務 負担はそれほど大きくならずに済むのではないかと考えられる。

以上

 

 

3. 領域委員会、理事会での承認事項

A. 領域委員会(2004年11月25日)での議論

 2004年11月25日の領域委員会にて、領域11からの物理学会における非会員の登壇に関する要望が審議された。川村領域代表から提案説明を行い、その後様々な議論があった。

 その結果、以下の条件で、理事会に上げる事が認められた:

1) 機械学会および気象学会の会員である学生について、

2) 共著者に物理学会会員がいるときに限り、

3) 実施時より3年間の施行期間の間、

当該学生の登壇を認める。

4) ただし、相手学会とは双務的な措置が取られることが条件。

 この決定を承け、2004年12月11日の理事会までに、流体関係者が中心となって相手学会との折衝を進めておくこととなった。

 

B. 理事会(2004年12月11日)での議論

 2004年11月25日の領域委員会での決定を承け、2004年12月11日の物理学会理事会で「非会員登壇」が議論された。その理事会での決定事項は以下の通り:

1) 機械学会および気象学会の会員である学生について

2) 共著者に物理学会会員がいるときに限り

3) 学生会員の登録費にさらに5000円加えた参加登録料を支払えば

4) 実施時より3年間の施行期間の間

登壇を認める。

5) ただし、相手学会とは双務的な措置が取られることが条件

 すなわち、領域委員会での結論にさらに3)の「参加登録費を学生会員の登録費+5000円」という条件が追加された。なお、担当理事からの連絡には

 領域2では天文・地球電磁気学会との共催セッションを三学会持ちまわりで開催している。この場合、当該学会のメンバーは物理学会会員と同じ資格で登壇できる。別の選択肢として、このような可能性は考えられないか。

との示唆も含まれていた。

 

C. 理事会(2005年3月8日)の結論

 2004年12月11日の理事会決定を承けて、流体物理分野で意見交換を行なった。その結果、同理事会で承認された条件で非会員登壇の措置を求めるということに意見が集約された。

 さらに実際の需要という観点から、流体物理分野からは2005年9月に開催される秋季大会(同志社大学京田辺キャンパス)からの非会員登壇の実施を求める声が強く挙がってきた。そこで、この措置の早期実現を物理学会理事会および事務局宛に要望した。

 その結果、3月8日の物理学会理事会で「非会員登壇」の件が審議され、以下の点が決定した:

 理事会で「協定を結ぶという項は保留とし、その他の条件のみを摘要して2005年秋季大会より導入を試みる」とことが承認された。

 それに伴い、物理学会誌2005年4月号に掲載する募集要綱が下記のように部分的に修正される。

・「C. 講演発表者(登壇者)の資格」の項に下の記述を追加

------------------

注意3:領域11に限っては、下記の条件(a〜c)を全て満たせば非会員でも講演発表者(登壇者)となることができる。

(a)「日本機械学会」或いは「日本気象学会」の会員であり、且つ、学生であること

(b)本会会員が共同講演者となっていること

(c)参加費(非会員学生料金)に加えて、登壇料(5,000円)を支払うこと

------------------

・「F. 講演申込および参加登録の方法」の項に下記記述を変更追加

------------------

会員番号入力欄には、領域11で登壇する

非会員学生(C項、注意3の条件を満たしている者)は"R99999"

アクセスキーは、いずれも共通で"2005S"です。

------------------

 参加費に関する条件が従来の「学生会員の登録費」から「参加費(非会員学生料金)」に変更されている点などの問題点もあったが、理事会および事務局の最終決定事項として受け入れることとした。

要約 理事会(2005年3月8日)決定事項 最終決定

 相手学会と「協定を結ぶという項は保留とし、その他の条件のみを摘要して2005年秋季大会より導入を試みる」とことが承認された。

 その結果、領域11に限っては、下記の条件(a〜c)を

全て満たせば非会員でも講演発表者(登壇者)となることができる。

(a)「日本機械学会」或いは「日本気象学会」の会員であり、且つ、学生であること

(b)本会会員が共同講演者となっていること

(c)参加費(非会員学生料金)に加えて、登壇料(5,000円)を支払うこと


 

 

4. 領域11構成員向け告知

 2005年4月5日付、川村領域代表から領域11構成員へのメールより抜粋

 物理学会・領域 11 の皆様、川村@領域代表です。

 今日は、物理学会での非会員登壇の件についてです。

 1年前の九州大学での物理学会時の領域11インフォーマルミーティングの席上、主として流体物理・力学・応用数学の分野の皆様からの要望を受けて、学生を主に非会員登壇を何らかの形で認めてもらうよう物理学会のほうへ領域11として要望する旨、決議されました。

 これを受け、この1年間、物理学会や関連学会(機械学会、気象学会)と交渉・調整してまいりました。詳しい経緯については、先の東京理科大での物理学会時の領域11インフォーマルミーティングの席上、領域代表のほうから報告させていただいたところですが、結果は以下のようなものになりました。(当初の皆様方の要望の線からすると、大幅に後退した内容になっているかもしれませんが、現状では物理学会はこの件については極めて慎重な姿勢です。)

================================

 以下の条件・方法が講演募集要綱(物理学会誌2005年4月号)に追加事項として

記載され、2005年9月の秋季大会(同志社大学京田辺キャンパス)から

実施されます:

C.講演発表者(登壇者)の資格 

------------------

注意3 領域11に限っては、下記の条件(a〜c)を

全て満たせば非会員でも講演発表者(登壇者)となることができる。

(a)「日本機械学会」或いは「日本気象学会」の会員であり、且つ、学生であること

(b)本会会員が共同講演者となっていること

(c)参加費(非会員学生料金)に加えて、登壇料(5,000円)を支払うこと

------------------

F.講演申込および参加登録の方法

------------------

会員番号入力欄には、領域11で登壇する

非会員学生(C項、注意3の条件を満たしている者)は"R99999"

アクセスキーは、いずれも共通で"2005S"です。

------------------

================================

(領域11からの補足) 2005年年次大会の参加費を基準に計算すると、当該学会の会員であることを前提とし、1回の登壇に要する費用は、非会員学生参加費2,500円+登壇料5,000円=7,500円である。一方、物理学会に入会して登壇する場合は、入会金3,000円+学生年会費7,000円+学生参加費1,500円=11,500円である。登壇が1回だけ なら非会員登壇のほうが低額、2回なら入会したほうが割安[非会員登壇15,000円(=7,500円X2)、入会登壇13,000円(=11,500円+1,500円)]という計算になる。

実施にあたっての告知

(i)まず2005年9月の秋季大会で試行的に実施する;

(ii)その状況を吟味した後にはじめて、物理学会事務局から正式に機械学会・気象学会に知らせ、学会内での公示等をお願いする;

 したがって当面、物理学会員向けの学会誌やwebページでの公示が行われるのみ。

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 「非会員登壇」の件は、学会の自己同一性や財政問題などが絡むため、なかなか難しい問題で、さまざまな立場から賛否両論があり得ます。しかし上記のような限定された形ではあれ、一応非会員登壇の道が開けたので、今後はこの制度を活用し学生の物理学会参加や学会間交流の促進につなげていただければと思います。

以上

 

 

5. 相手学会(日本機械学会、日本気象学会)の反応

A. 日本機械学会

1. 登壇規定(日本機械学会2004年度年次大会募集要項より)

(1) 本大会では会員外の方の研究発表も受け付けます。

(以下略)

2. 交渉窓口

 藤井 孝蔵 部門長 流体工学部門

     e-mail: fujii@flab.eng.isas.ac.jp

     宇宙科学研究所

     229-8510 神奈川県相模原市由野台 3-1-1

 小阪 雅裕 担当 機械学会事務局 流体工学部門

     e-mail: kosaka@jsme.or.jp

     160-0016 東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館5階

     phone: 03-5360-3505 fax: 03-5360-3509

3. 回答

(i) 物理学会領域委員会条件(2004年11月25日)に基づく打診に対しての機械学会事務局の2004年12月7日付回答内容:

 機械学会事務局の寿山次長と相談した結果、やはりこの件に関して機械学会からはとりたてて協定となるものを結ぶ必要はないとのこと。

 物理学会で機械学会の会員に門戸を開くのは結構なことである。また、流体工学部門の講演会では他学会の会員の講演も認めているのが現状である。したがって、特に協定を結ぶべき事項ではないというのが結論。

 協定ではないが、物理学会の講演会が機械学会会員に門戸を開くという情報は流体工学部門運営委員会でアナウンスをすることが可能である。もし希望があればその旨連絡するように。藤井部門長をはじめとする流体工学部門運営委員に報告事項として知らせる。

(ii) 物理学会理事会(2005年3月8日)の最終決定事項を流体世話人より機械学会事務局に連絡した。それに対する機械学会事務局の2005年3月29日付回答内容:

 2005年3月の機械学会流体工学部門運営委員会において、物理学会理事会での最終決定事項を運営委員に紹介した。

要約 機械学会の反応

 機械学会では広く非会員に対しても無条件で登壇を認めており、この件に対して特に協定を結ぶ必要はない。ただし、物理学会で登壇を認める決定がされれば、そのことを流体工学部門運営委員会で告知するなどの措置はとる。

 その後、物理学会理事会の2005年3月8日付最終決定が、同月の機械学会流体工学部門運営委員会で紹介された。

 

B. 日本気象学会

1. 登壇規定(日本気象学会2004年度秋季大会の告知より)

非会員の大会講演について

 気象学会会員でない方は原則として大会講演を行うことは出来ません。しかしながら、短期滞在の外国人や他分野の研究者が気象学会において講演を行う場合を考慮して、講演企画委員会では以下の規定を満たすものに限って非会員が大会講演を行うことを認めています。

(1) 共著者の中に会員が含まれていれば、非会員の講演を認める。

(2) 上記規定を明確にするために、講演申込用紙に講演者の会員番号(非会員は会員である共著者の会員番号)の記入を義務づける。

 なお、講演企画委員会としてはこれまでと同様,継続的に大会発表を行いたい人には会員になって頂くよう望みます。

2. 窓口

 藤部 文昭 理事 気象学会常任理事会

     e-mail: ffujibe@mri-jma.go.jp

     気象庁気象研究所

     305-0052 茨城県つくば市長峰 1-1

     phone: 029-853-8641 fax: 029-853-8649

 島村 担当 気象学会事務局

     e-mail: jmetsoc@blue.ocn.ne.jp

     100-0004 東京都千代田区大手町1-3-4 気象庁内日本気象学会事務局

3. 回答

(i) 物理学会理事会条件(2004年12月11日)に基づく打診に対しての気象学会常任理事会の2005年2月14日付回答内容:

 2005年2月9日の気象学会常任理事会で物理学会の提案を検討した。その結果、気象学会では、すでに非会員の講演(登壇)を認める形で運用しており(共著者に気象学会員がいるという条件で)、新たに規定を作る必要はないとの結論に至った。

 規定を作ることが協定締結の条件だとすると、協定を結ぶのは難しそうな状況である。

(ii) 物理学会理事会(2005年3月8日)の最終決定事項を流体世話人より気象学会事務局に連絡した。

 それに対しては特に返答がなかった。

要約 気象学会の反応

 既に、非会員の登壇をより広い条件の下で認めており、物理学会と個別に新たな規定を設けて提携関係を結ぶ必要はない。

 

C. 相手学会の反応のまとめ

 機械学会および気象学会の基本的なスタンスは、両学会とも既により一般的な「門戸開放」を行っているので、この件のために物理学会と改めて規定を設けて協定を結ぶということはしない;しかし、物理学会が門戸を開放することは歓迎する、というものであった。

 したがって、物理学会が自らの条件を決定すれば、それを両学会に告知するという形で、非会員の登壇措置を実施できる。